ふしぎ観測

深夜の通販番組、あれは誰が見ておるんじゃ? 買い手の年齢は出ていたが、深夜の視聴者だけは見つからなかった

2026年10月15日 By NTM Editorial
#テレビ通販#深夜番組#ショップチャンネル#ジャパネット#視聴データ
aiko
aiko

なあ、寝つけんで夜中の2時過ぎにテレビをつけたら、チャンネルを回すたびに通販がやっとったんじゃ。あの時間に起きとって、しかも財布まで出す人が、そんなにおるもんかのう?

sa-tan
sa-tan

気になって調べてみたんです。ただ、先に正直に言うと、「深夜に見ている人の年齢や人数」を時間帯別に出した公開資料は、今回の範囲では見つかりませんでした。出ていたのは、通販会社が自分で公表している「買っている人」の顔のほうです。

この記事は、分かったことと分からなかったことを分けて書きます。分からなかった部分を、もっともらしい推測で埋めることはしません。

同じ夜、5局とも通販を流していた

TV Bros. が2020年7月のある金曜の深夜に、地上波キー局5局の通販番組を見て回った記録を note に残しています。記録に載っている各局の通販番組のうち最初に挙がっているものを、始まった時刻の順に並べたのが図1です。

図1 2020年7月のある金曜深夜、5局が通販番組を始めた時刻(記録に載っている各局の最初の番組)
26:44
日本テレビ
日テレポシュレ(150分スペシャル)
27:17
TBS
カイモノラボ
27:43
テレビ東京
ベガスマート
27:55
フジテレビ
DJモノフェスタ
28:00
テレビ朝日
健康家族テレショップ
注:26:44は翌日の午前2時44分、28:00は午前4時。1晩分の記録であり、番組表の恒常的な傾向を示すものではない。自社制作か枠を買った番組かは、記録からは区別できない。
出典:TV Bros.「地上波キー局5局のテレビ通販番組をすべてチェックしてみたある深夜の記録」(note)をもとに編集部作成。

午前2時44分から4時までの76分間に、5局すべてが通販番組を始めています。少なくともこの夜は、深夜の通販は1局の変わった編成ではなく、キー局の定番の枠でした。

テレビ通販の出し方には、局の番組内のコーナー、通販専門チャンネルの24時間放送、メーカーが地上波やBSの枠を買って1番組として流す形式の3つがある、という整理があります(ベンチャー広報の解説)。

aiko
aiko

5局がそろって同じ時間に通販じゃと、よっぽど定番なんじゃな。あれ全部、局が自分で作っとる番組なんか?

sa-tan
sa-tan

そこは番組名だけだと切り分けられないんです。上の3つのどれにあたるのかは、この記録からは分かりません。「誰が見ているか」の前に、「誰が出しているか」も確定できないんですよね。

aiko
aiko

ほうか。ならば見る側が分からんのなら、せめて買う側から回ってみようかの。

通販は14兆5,500億円、そのうちテレビは4.6%

まず市場の大きさです。日本通信販売協会(JADMA)の調査では、2024年度(2024年4月〜2025年3月)の通販・EC市場の売上高は前年比7.3%増の14兆5,500億円でした。電通の『情報メディア白書2026』は、このうちテレビ通販市場を6,640億円(前年度比微減)、通販全体に占めるシェアを4.6%としています。

図2 通販・EC市場に占めるテレビ通販の構成比(2024年度)
95.4%
テレビ通販 6,640億円(4.6%)
それ以外 13兆8,860億円(95.4%)
注:「それ以外」は市場全体14兆5,500億円からテレビ通販6,640億円を差し引いた編集部の算出値で、内訳(ネット・カタログ等)は今回確認していない。
出典:JADMA「2024年度通販・EC市場売上高調査」、電通『情報メディア白書2026』をもとに編集部作成。

深夜の通販番組がテレビ通販に含まれるなら、その売上は6,640億円の内側に収まります。深夜がそのうちどれだけを占めるのかは、確認できた公表資料には出てきませんでした。

買い手の年齢は、通販会社が自分で公表していた

テレビ通販大手3社の売上高と、各社が公表している顧客像を並べたのが表1です。

表1 テレビ通販大手3社の売上高と、公表されている顧客像(売上高の単位:億円)
会社売上高前年度比決算期公表されている顧客像
ショップチャンネル1,677.92+6.0%2025年3月期60代以上が75%、女性89%(2025年3月時点)
QVCジャパン1,317.19−0.6%2024年12月期今回確認した資料には記載なし
ジャパネットHD(グループ)2,725+4.0%2024年12月期購入者の平均年齢は約70歳、男女は半々(同社専務の発言)
注:売上高はテレビ以外の経路(ネット等)を含む各社の決算の数字で、図2のテレビ通販6,640億円とは足し引きできない。顧客像は公表時点が会社ごとに違い、数字同士の比較はできない。
出典:ネットショップ担当者フォーラム(2025年7月16日・2026年3月4日)、文春オンライン(2026年3月13日)をもとに編集部作成。

ショップチャンネルは顧客の75%が60代以上、ジャパネットHDは購入者の平均年齢が約70歳と、それぞれ自分たちで説明しています。「通販を買っているのは高齢層が中心」という見方には、少なくともこの2社については裏付けがあります。

aiko
aiko

75%が60代以上というのは分かったわい。じゃが、買うとる人の年齢と、夜中に起きとる人の年齢が同じとは限らんじゃろ。昼に見て、夜中に電話した人かもしれん。

sa-tan
sa-tan

そこが穴なんです。ショップチャンネルは「24時間365日ライブ放送」の通販番組ですが、公表されているのは全時間帯をまとめた顧客の数字です。何時台の購入が多いのか、その時間帯の買い手が何歳なのかまでは、確認できた資料に出ていませんでした。

「見ている」と「買っている」の間には、まだ空白がある

もう一つ、見る側の手がかりがあります。NHK放送文化研究所の「国民生活時間調査2025」です。

図3 テレビの利用時間(70歳以上)
70歳以上のテレビ利用時間 5時間47分 (2020年は5時間12分)
定義:国民全体では、平日にリアルタイムでテレビを見た人の割合が71%(2020年は79%)、利用時間は3時間14分(2020年は3時間1分)。
調査:NHK放送文化研究所「国民生活時間調査2025」(有効回答3,795人・回答率52.7%)。
読み方:1日の合計の長さであり、何時台に見ているかはこの数字から分からない。
注:数値は調査の報道記事(電波タイムズ・Yahoo!ニュース配信)に基づく。30代以下は、テレビを見た人の割合が5割未満と報じられている。
出典:NHK放送文化研究所「国民生活時間調査2025」をもとに編集部作成。

若い層でテレビ離れが進む一方で、70歳以上はむしろテレビを見る時間が延びている。通販の主な買い手が60〜70代という上の数字と、方向は合っています。

ただし、見えているのは1日の合計までです。通販業界では「深夜0時からがゴールデンタイム」と言われる、という記述もあります(モノ・マガジン編集部『テレビ通販の蘊蓄100章』・東洋経済オンライン、2016年)が、根拠や取材先は記事に書かれておらず、業界の言い習わしとして受け取るのが限界です。

aiko
aiko

長くテレビを見とる世代が、そのまま夜中にも起きとる……と書いたら、すっと腑に落ちるんじゃがのう。

sa-tan
sa-tan

落ちますよね。だから書きたくなるんです。「深夜の通販は高齢者が釣られている」という見出しは、検索でも読まれやすい。わたしたちも検索から来てもらう側なので、その引力はよく分かります。今あるデータで言えるのは、買い手の年齢までです。

aiko
aiko

夜中に起きとるかどうかは、誰も数字を見せてくれとらんからのう。

今回の確認結果を、いったん整理します。

  • 確認できたこと:ショップチャンネルとジャパネットHDの買い手の年齢、テレビ通販の市場規模、70歳以上のテレビ利用時間、ある1晩の放送記録
  • 確認できなかったこと:深夜の時間帯別・年齢別の視聴者、深夜枠の売上や客単価、QVCジャパンの顧客像
aiko aikoが飲み込んだところ

次に夜中の通販を見かけたら、「年寄り向けじゃろ」と決めつけんで、そう言い切れる数字が出とるかを先に探すことにするわ。……わしも夜中に目が覚めて通販を眺めて、朝になったら要らんかったものを欲しゅうなったことがあるからの、人のことは言えんのじゃが。

NTM ニュース整理

断定の見出しを選ばなかった理由

起稿の段階では、もっと言い切る題のほうが読まれると見込んでいた。時間帯別の視聴者像が手元の資料に出てこなかったので、題に「見つからなかった」を残す形にした。それでも、問いの立て方そのものが検索で拾われやすい形になっている。そこから自由だったとは言えない。

関連: オールドメディアが変われない3つの構造的理由 — 視聴率・スポンサー・切り取りの経済学


夜中にチャンネルを回したときの、「これ誰が見てるんだろう」という素朴な疑問から始めました。買い手の顔は調べがつきましたが、深夜の画面の前にいる人の顔は、今回は見つかりませんでした。

ソース

顧客像(年齢・男女比)はショップチャンネルとジャパネットHDが自社で説明している数字で、第三者の調査会社が測った視聴データではありません。

the NTM Core Engine 参考文献・検証プロセス
S 95pt
PENDING Audit PENDING_MANUAL_REVIEW
2 一次情報
4 二次情報
参考文献・検証ログ 10件
  1. ベンチャー広報の解説
    分類保留 監査保留 最終参照: PENDING_MANUAL_REVIEW
  2. JADMA「2024年度通販・EC市場売上高調査 公表」(2025年8月28日)
    二次情報 監査保留 最終参照: PENDING_MANUAL_REVIEW
  3. 電通「情報メディア白書2026|EC・通販」
    一次情報 監査保留 最終参照: PENDING_MANUAL_REVIEW
  4. ネットショップ担当者フォーラム「【テレビ通販大手3社の2024年度】売上高はショップチャンネルが1677億円、QVCは1317億円、ジャパネットHDは2725億円」(2025年7月16日)
    二次情報 監査保留 最終参照: PENDING_MANUAL_REVIEW
  5. ネットショップ担当者フォーラム「2年連続で過去最高売上を見込む『ショップチャンネル』」(2026年3月4日)
    二次情報 監査保留 最終参照: PENDING_MANUAL_REVIEW
  6. 文春オンライン「顧客の平均年齢は70歳、テレビ通販の雄ジャパネットが“顧客の若返り”を焦らないワケ」(2026年3月13日)
    分類保留 監査保留 最終参照: PENDING_MANUAL_REVIEW
  7. 電波タイムズ「NHK放送文化研究所『国民生活時間調査2025』」(Yahoo!ニュース配信)
    二次情報 監査保留 最終参照: PENDING_MANUAL_REVIEW
  8. NHK放送文化研究所「国民生活時間調査」
    一次情報 監査保留 最終参照: PENDING_MANUAL_REVIEW
  9. TV Bros.「地上波キー局5局のテレビ通販番組をすべてチェックしてみたある深夜の記録」(note)
    分類保留 監査保留 最終参照: PENDING_MANUAL_REVIEW
  10. 東洋経済オンライン「『テレビ通販』の奥深さを知っていますか 思わず人に話したくなる蘊蓄100章」(2016年9月14日)
    分類保留 監査保留 最終参照: PENDING_MANUAL_REVIEW
Score Breakdown 95pt
Traceability 35/35
本文から根拠へ辿れる度合い
Diversity 25/25
出典の広がり
Evidence 25/25
根拠の強さ
Domain Bonus 10/15
一次資料・公的資料の補強
the NTM Core Engine review note

参照は 10 本あります。監査はまだ保留で、公開前の確認が残っています。

制作の流れ
STEP 1

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参照 10 本。一次情報 2 本 / 二次情報 4 本を当てて、本文の芯を固める。

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参考資料